竹内峠(288m)、穴虫峠(140m)、田尻峠(118m) 尾崎佐永子「風の鎌倉」読了

奥さんは冬の備えに娘の所へ行くということで今週の連休は祝園に滞在する。このところ天気も良いのでいよいよ竹内(たけのうち)峠に行くことにする。奈良大阪間の峠を自走して行くとすれば峠越えに往復距離を加え一般国道を長く走るという点でもほぼ南限に近い所と思われる。かねてより司馬遼太郎氏の街道を行くの第一巻に登場することもあり興味津津でした。今回は大阪側に降りて奈良県境に戻って来る峠をついでに2つ追加する周回コース。
11月21日、晴れ10℃以下、少々寒いのでパールイズミのウインドブレーカーを着てスタート。木津川CRと奈良クルを定常走行で法隆寺まで通過。王子の街に入ってからが一般国道で難行が始まる。結構道幅狭い2車線で交通量が半端なく多いうえに渋滞して気が抜けない危険さがあり。自分が側溝に落ちるか車に引っかけられるかの危い168号が、大和川を渡って香芝、大和高田へ続く。眼前に葛城山の山塊が迫ってきてようやく二上山の麓に到着し166号に当たって西進。ここからは登りに入る。竹内街道は日本最古の官道でシルクロードの最東端だそう。いかにも街道らしい場所で一休み。観光地化するための努力かのぼり旗が揺れている。聖徳太子の昔、大阪堺から飛鳥に向けて東西の交通として整備された道らしい。周辺地図を見るとここはどこへ行っても史跡ばかりの様子。竹内峠はそこから十数分で頂上に着く。ここは奈良、大阪と市街地が見えて峠らしい風情がある。

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竹内街道

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(竹内峠旧道)
大阪側の太子町へダウンヒル。いつものことながら大阪側はサイクリストが断然増え追い抜くグループや出会うグループなど自転車が多い。南河内グリーンロードから見るとひと際目を引くのがノッポな塔が見えるがあれはPL教団のパゴダというものらしい。かなり遠くでもしっかり見えるので相当に高いのではないか?つくづく宗教的な建造物に対する人のエネルギーの大きさは凄まじい。アップダウンを繰り返し賑わう観光みかん園の横を登ったところで近鉄大阪本線沿いの穴虫峠に到着。ここは国道でそこから間もなく下ったところにある田尻峠も阪奈間の往来多い峠、さして見るべきもの無し。さっさと香芝に戻り168号で王子、法隆寺、奈良、祝園と帰路を急ぐも今日は北西の逆風で体力を消耗し始めついに木津川CRではヘロヘロ状態。13時半に帰着。神経も体力も減って走り難さを考えると二度と行きたいとは思えないものの、ひとまず今年のロングディスタンスは一区切り。疲労回復も遅いので連休残りは読書と休息に充てる。兎に角、体が重い状態が2,3日後に来るので時節柄体調の維持が肝心なので葛根湯満了処方というのを飲んで筋肉痛を緩和する。
89.19km 5:19:53 16.7km/h 獲得標高711m
https://strava.app.link/9If30hCSZbb

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(穴虫峠)

続けて尾崎佐永子氏の歌集、「風の鎌倉」を借りてくる。鎌倉在住ということで鎌倉の風、海を含んだ情景が詠まれている。鎌倉は文化人の街でもある。前読んだ「さるびあ街」に比べ明るい内容と思えるも現代的口語的な明るさではない静かな自然の光を感じる。星座、星、月の光など天体、気象の単語が多くイメージされているのも自分の好みかも知れない。中にシリウスを自分の星とする・・とあり、まさに冬のマイナス一等星スターなので寒空に輝く強い意志のようなものを感じる。自分には思ってもみないことであるものの敢えて言えば木星あたりが自分好みか。
「あら風に乱れつつわれに向ひくる花びら無限山の一日(ひとひ)は」
「昇り来しシリウスの白き輝きは一夜風荒るる予兆ともみゆ」
「怒りさえ淡くなりゆくこの幾日忘却は自らの防衛にして」
「唐突に死にたいなどと口走り心が少し軽くなっている」
「一度きりの今のこのとき惜しめとぞ天の雲ことごとく夕焼けとなる」
「色刷りの週刊誌電車に読み捨てて取り戻せざる時を浪費す」
「次々に過ぐる窓外の光は午後の傾きを持つ」

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