欧州ウイーン行の3 Wiener Musikverein

早いもので明日の午後にはフライトなので1日フルに活動するのは最終日になる。ここまではロスも無く、てんこ盛りのスケジュールが無事消化できている。今日はホテル・ザッハに行って、そのあとMusikverein(学友協会音楽堂)で音楽鑑賞のあとベルベデーレ宮殿を回る予定。息子の案内は詳細で道順や交通手段のコツまでふくめ無駄がない。
9時にハイリゲンシュタット駅で明日の空港までの切符と道順など教えてもらう。9時半にオペラ座近くのホテル・ザッハに着くと早くも列が長く伸びている。アレレ・・これでも遅かったか。ホテルザッハの2か所のレストラン?喫茶?の1つは既に客が入っているが、もう一つはまだ開店前らしいのでそちらに並ぶ。こちらも案外みんな長時間並ぶのを厭わないらしい。通りがかりの若い日本人カップルが「何ここ?サッチャ(Sacher・・?)」と話ながら過ぎ去ったのはご愛敬。10時に開店すると客がそろそろ動き始めラッキーなことに私たちも招き入れられ窓際の席に通される。有名なザッハ・トルテのケーキ8.9€、コーヒー6.9€、約2500円のセットをオーダー。チョコレートケーキに杏ジャムが入り、横のクリームと一緒に食べることによって甘さが抑えられるらしく甘党の私は十分に堪能する。このお値段・・おもてなし・・とか日本の和菓子も外国人に対して良いものはもっと強気な価格でも良いのではないか??と思ったりする。

「クリームを添えて食べたるチョコケーキ「ザッハ・トルテ」の甘さと重さ」

Sacherを出て道路を横切りMusikverein(学友協会音楽堂)まで早歩きで向かう。ここはウイーンフィルのニューイヤーコンサートでお馴染みのホール。元旦夜のTV、こちらは昼に開催されるが最後はラデッキー行進曲で終わるやつで、ああこれがその場所・・と感慨深く見る。黄金の間というホールで今日はロッテルダムフィルの「ロミオとジュリエット」が演奏題目になっている。ビシッとした礼服みたいな恰好の紳士淑女もいるが気合の入ってない聴衆の私たちはお安い立見席で見る。TVで見覚えのあるホールは大きくはないがシャンデリアなど豪華さは言うまでもない。ロッテルダムフィルには明るくはないが、ホールでは連日切れ目なくコンサートが開催されているようで芸術を楽しむという環境の豊かさ感じる。但し、演奏中の携帯撮影禁止で何度もしつっこく注意されている目の前にいた中国の女性団のマナーの悪さが目立つ。

終わって外に出ると、少し小雨が降って来た。リンクの大通りを横切り昼食はナッシュマルクトという市場に行く。こちらは日曜日はスーパーやレストランも休むところが多くこの市場も半分くらいは閉っていて人は少ない。良くも悪くも営業日数で稼ぎを増やすような風習はないらしい。取り合えず開いているところに入り、2度目のシュニツエルを食す。小降りの中を傘をさしてベルベデーレ宮殿に向かう。ここは下宮と上宮があって相当大きいがシェーンブルーン宮殿というのはもっと大きいらしい。広大な庭の写真を撮りつつ、こんな広い庭の手入れはさぞ大変だろうと歩いていると芝刈り版のルンバが動いていた。上の宮殿と言いつつここはクリムトが有名な美術館でご多分に漏れず人が多い。ここも有名な「接吻」の前には人垣ができている。それ以外の作品もゆっくり見ていると、奥さんが「ない・・、アレがない!」と言い始める。確かにガイドブックによくある「ユディト」というのが見当たらない。息子が付近にいる係りの人に聞いてくれるとベルリンに出て行っているのだそうで、まあ今回は仕方なし。エゴンシーレ、クリムト印象派の絵などを一通り見る。

「不便でも日曜を休むスーパーの静けさに立ち豊かさ思う」

「抽象さ、きらびやかな金色は確かに違うグスタフ・クリムト

(上宮)

(下宮方面)


宮殿の後はトラムで西駅近くまで来る。今までとは少し違った雰囲気の通りを歩いていく。付近にイケヤなどがあるそうで街並みは少し新しいショッピング通りにみえた。息子の説明を聞きながら雨上がりの道を歩いていくと、一つの塔を指して「あれは二次大戦のドイツの高射砲陣地やった。今は水族館になっとる」ハウス・デス・メーレスというらしくその成り立ちからして風変わりな建物に見えた。ハイドンの家なども近いらしい。どこにいるのか全く不明だったがやがて見覚えのある美術史博物館、オペラ座などが見えてきた。夕食はその付近のイタリアンでとる。この旅は食事のオーダーやチップ心配など自分でやるストレスも無く大いに助けられた。街々を見ながら今日はメトロでなくトラムで帰る。年代を感じさせる白と赤のカラーリングの電車ははせわしなく止まったり動いたりを繰り返しながら進む。暮れてオレンジの灯りを反射する石畳を見ながら帰国前日を無事終える。

「どちらだかわからぬトイレのドアに立ちHerren(ヘーレン)男とまた聞き戻る」

(水族館)