先週実家の姫路に帰る。ワクチン接種と連続した緊急事態宣言明けを待って約1年半ぶり。時の経過、老いは抗いがたく前回顔を見た時よりも父母は明らかに老いていた。施設の話も出ているがまだ調べ始めたばかりで老老介護の現実を目にする。「もう日に日に一日のことしか考えられん」と母の話を聞くと悲しみと感謝似た感情あり。他人事でもなく自身、長生きするということの意味をその姿から考えさせられる。兄夫婦とその他諸々を話し、特に兄もやっている自転車の話題になって新しく買ったロードバイクを見せてもらう。バッソというなかなか渋いブランドだった。14時に辞して姫路駅の地下で明石焼きを食す、懐かしい。ついでに、まねき食品の駅そばも食す。これも美味、少々食べ過ぎ。ピロシキを買うため三宮で途中下車。奥さんに言われていた三宮阪急の地下でピロシキ屋を雑踏の地下街を探し歩く。過去何度か来ている所でも忘却のせいでで迷いつつやっとのことで発見。いつものように結構長い列の後ろに着き、買っていく人の様子を観察しながらまんじりと待つ。一人前も同じく独人で買いに来ている男性で黒い背広にコートのフォーマル姿、腕組をしてじっと考えているような風。だんだん順番が来るに従い、その人の顔が赤くなっているようで、酔っているか?もしや風邪でもひいているかな??と思っていたら「全ての種類、二箱分づつお願いします!」充満していたものがはじけ飛ぶような力強い注文。凄いビッグオーダー、6種類以上だったか、揚がったピロシキはトングでガッサガッサと8個入り箱に詰められていく。包装するだけでも相当に時間を要し列はいよいよ長くなる。後ろのご婦人も少し唖然として見ておられ、ますます赤くなった男性は万幣を2枚出して支払い早々両手に紙袋一杯のピロシキを持って足早に立去った。ああ、ピロシキの鬼のような人や・・大人しく季節のお徳用箱1個を買って帰る。自身も奥さんに教えられて知ったロシアのおやつピロシキはもう少し流行っても良いような気もするが店は少ない。
本日、義父母が行きたいと言われていた越前カニ祭りに出かける。この祭りは漁の解禁を祝ってか11月の週末にやっているらしい。もっともカニ好きの私のためということでありがたくコロナが落ち着いていることで出掛ける。天気は小春日和、朝7:30に出発。高速を下りて敦賀から潮風ラインという海岸道路で約1時間道の駅越前に9:30着。既に駐車場は満車近く県外ナンバーが多い。横のワンボックスはコンロに火をつけて鍋をやっているのは和泉ナンバー。越前ガニとセイコガニを買い混み合っている会場を早々に出る。越前灯台に立ち寄る。この時期、人気は無く急坂の上、白い灯台の向こうに日本海は深く静まっている。風に吹かれている水仙を花が趣味の義母が見つけて数本摘み取る。敦賀へ引き返す。ずーっと続く海岸は山が海岸までせり出てきて急な断崖になって切れ落ちる。なかなか地形的には厳しく、まして冬の厳しさは曰んやをや。漁村、温泉、北前船の館などの沿道を通りながら敦賀に到着。義父母が正月向けの数の子を買うため、「お魚市場」で買い物に付き合う。よく見るとここにも目玉商品として並んでいる越前ガニは値段が安そうで、ハテこれははモノの違いか?昼食は敦賀駅に近い「弥助」という義父が来たことがある寿司屋に入る。ご主人曰く「越前カニ祭りはね・・観光客目的なので安くはないですよ!今日あたりは敦賀の方が10%以上は安いね~」とのことで少なからずがっかりする。寿司屋の前の道路に何故か、宇宙戦艦ヤマトのモニュメントがあった。聞くと道路の反対側は銀河鉄道999のモニュメントがあるらしいが松本零士とは縁もゆかりもないそうだ。一路岐阜まで、何はともあれ義父母は久しぶりの遠出に満足された様子で15時着。
「冬を待つ北国ふかき海の蒼小春の傾(なだ)り水仙揺れる」
帰宅後夕方にrunに出掛ける。柏の杜公園から金華山DWまで夕暮れの街並みの灯りが美しい。山道は真っ暗なので首に下げたライトを点灯して下る。
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珍しく文芸春秋を買い石沢麻衣「貝に続く場所にて」読了。今年の芥川賞作品。ドイツ在住の作家、ドイツの町が舞台ということで興味があって読み始めたが大苦戦、トータル3か月を要す。純文学的な文体もあって、表現が観念的でもう一つイメージが自分の中ではっきりしなかった。夏の時期、街の明るさ、森の暗さ、出てくる幽霊の意味も何故か全体がぼんやり感じてクリアにイメージできないところが苦戦の原因か。TVの映像でしか東北震災を記憶していない私にとって描かれている記憶の部分も、幽霊になって現在によみがえるところの関連性もクリアにならず読んでる最中も読後も淡いままにメッセージ性も少なかったように思う。寺田という人が幽霊とわかるが、もしや寺田寅彦のことでは・・?と思いながら読んだが当たったことと、ゲッチンゲンの惑星の小径というのが意外に面白そうとわかったことが収穫と思える。読後に受賞者の言葉、受賞者インタビューでそれなりに本編のひも解きを読んでも消化不良的な印象は変わらず。