欧州オスロ行の3 Holmenkollen

オスロの最終日、ゆっくり起きる。キッチリした予定は無く、まずはアーケシュフース城を回わり、私希望のホルメンコーレンジャンプ台に行き、その後はオスロ湾を巡回フェリーに乗って遊覧することになった。朝は小寒い街角に出てトラムに乗車し城の近くまで行く。色づき始めた木々の下、石畳を歩いて城の門をくぐる。さほどの一大城には見えないが「アナと雪の嬢王」というアニメの城のモチーフになったことで有名だそうだ。城壁には大砲があって登って見るとオスロ湾が一望でき、ここも複雑なフィヨルド地形であることがわかる。高校生なのか遠足らしく大勢いて、その中の白い服の男子1人がふざけて落ちていた栃の実を蹴り飛ばしたら私に飛んで来て太ももに当たった。白人でブロンドの男子は当惑で顔を真っ赤にして「sorry」と言ったので「No problem」と返す。

城を出て、お昼用にここでは有名なシナモンロールの店に行って購入する。ユーロではないクローネ表示のシナモンロールは高いハズだがサイズも半端なく大きいのでお得感がわからない。こちらではキャッシュレスのカード決済で娘もお金を払うのを見なかった。今度はナショナルシアター駅からメトロ1号に乗る。1駅過ぎ、地下から出ると住宅街を縫って、やがて坂を登っていく。傾斜が徐々急になって登山電車の趣がある。乗客の中にはハイキングの格好も多く、メトロの終点はオスロ市民のハイキングスポットらしい。ホルメンコーレンはジャンプ、ノルディックスキーで有名だが、駅周辺はオスロ湾の見える静かで美しい住宅街で道沿いにレストランなどがある。神戸でいえば山手のような感じもする。道路を歩いていくとジャンプ台の下に出て、ラージヒルのジャンプ台はもう少し上にあってジャンプの台頂上へはエレベータで登れるが予想外に混んでいて、少し並んですし詰めのエレベータで登っていく。ドアを出ると選手の出発地点でここを滑るのはさすがに命知らずと思える。70万都市オスロの市街を遠望する。帰り、旗を持った大勢の団体客がエレベータ前にいて、いわゆる大型客船の団体で当節観光公害の一因と言われるのもわかる。

「急坂を登り見あげればジャンプ台ホルメンコーレン群青の秋」

駅の近くのベンチでシナモンロールを食べてからメトロ電車で下り港に向かう。ruterの切符でフェリーに乗るとここでも野外活動らしい高校生が多い。「ノルウエーは今週、子供休み週間らしいよ」と娘の言葉に納得。オスロ湾は入り組んで小島がポツポツあり、日本ならありがちな橋を渡すという公共事業にならず、このフェリーが島や半島間の交通を支えているらしく約1時間以内で周囲の5個程の島の港に寄って戻ってくる。フェリーは頻繁に行き来し、島に着くと乗降が終わるとすぐに出発する。買い物袋を提げた男性が小道を歩いてカラフルな家に戻っていく。どうもこの船自体も電動なのかエンジン音は聞こえず静かに離岸する。風光明媚な島々を回って戻ってくると、桟橋の向かい側に小さな小屋が海に浮いている。「あれ何?」と聞くと「サウナだよ、こっちの人は好きだね。サウナで汗かいてから海に入るんや」と娘。確かに男女は水着を着ているが寒くないのか?時刻は15時前、カールヨハン通りを歩いていくと昨日もいたオルガン弾きが「ランバダ」を演奏する。帰る前に近くのスーパーでお土産を購入しておく。魚のトマト煮の缶詰は美味しかったので奥さんがガメッと買い込む。

「フェリーから降りて島人帰りゆくオスロの海辺に緑の家あり」

(カールヨハン通り)

(衛兵交代)

スーツケースの準備をして部屋を出たのは16時。駅までの途中、王宮前で衛兵交代をやっていたのでしばし見学する。この4日間をつつがなく過ごせたこと、ホスピタリティに対するお礼と感謝、体に気を付けるようと娘に言って列車に乗り込む。飛ぶような速度で走る電車から去っていく針葉樹の森を懐かしい気分で見る。オスロ空港からのエアーは19時出発。搭乗前にまたシナモンロールを買って食べる。テニス道具を持ち込んだ大柄の若者団体が入って来た飛行機はほぼ満席。サンドイッチが出て約二時間でオランダスキポール空港に着。無事、空港近くにあるホテルに到着する21時。

「心からお世話になったと言いおいて娘に手を振りまた振り返される」