欧州、オランダ行の2 Kinderdijk

昨晩の就眠はさすがにが遅く、朝はゆっくりのスタート。外は曇っているが予報は悪くはない。今日は列車でロッテルダムに向かい世界遺産キンデルダイクの風車群を見に行予定。順調なら見終わった午後に少し時間に余裕があるのでロッテルダム市内かハーグにでも行くことにしていたが、昨日のこともありオランダ国鉄に対する不審の念もあり、早く戻って来ようと考える。息子曰はく、「最近欧州の国鉄は遅延やキャンセル、ストなど不安定なことが多く、日本のJRは神や」という話が身をもって理解できた。チケットはNSというオランダ国鉄のアプリで購入する。こういうところは妙に進んでいて結局キャッシュを使用することは無い。スキポール駅9:30過ぎの列車に乗りロッテルダムへはICEで30分少々で直行する。車窓一面に緑の平原と牧場の牛や羊に運河が続く。道路脇には背の高い木が茂って風よけになっている。10時過ぎ、ロッテルダムに着き駅で南ホランドツーリストデイチケットを購入。これで全ての交通機1日を乗り放題。アムステルダム駅の旧市街の雰囲気と違ってロッテルダムの駅前は近代的なビルが多い。

まずはトラム23番に乗り終点まで行きバスに乗り換える。郊外の田舎のバス停は少々心細いがしばらく待つと赤いバスがやってきた。路線バスにしてはバス停の間隔が長く高速で走行する。やがて車内は我々と白人の夫婦だけになり大きな川を渡るとキンデルダイクの停留所でその夫婦も下車する。川の堤防道を歩くとガラス張りのビジターセンターがありまずは昼食をとる。室内の一角にはカラフルな伝統の木靴の置物があった。両側が運河になった堤防を歩き始めると最初の風車が近づき写真を撮る。ほとんどの羽には帆が張られておらず止まっているが数台の風車は回転している。風がそこそこ強く堤防横の葦が揺れている。回転する風車まで来ると、それは風車博物館で入場料が必要なので外からのみ見学。近くで見ると予想以上に大きく風切り音を立てて回っている。本、司馬遼太郎氏のオランダ紀行を思い出す。キンデルダイクは「赤ちゃん堤」の意味で、風車守の生活についても書かれていた。風車の中は生活空間で外には白い洗濯物のシャツが吹く風にはためいている。ヒッチコックの「海外特派員」という映画で悪党の隠れ家として風車の中がが出てくるが、揚水ポンプや製粉など18世紀から続く風車守の生活も見てみたい気がした。再び歩き出す。風車は同じに見えてデザインの変化が所々にある。運河が分岐する地点まで来て、もう一つ左側の運河と右側の水位が微妙に違ってることに気づく。一列に並ぶ壮観な風車群を写真に撮ってきた道を引き返す。

「自撮りにはいまだに慣れぬわれらでも風車をバックに若者になる」

「まわる羽根とおりすぎ来し風ならば我の肺にも空気を満たす」


(水面の高さが違う)

自転車やカナルホッパーという小舟で運河を遊覧するツアーもあってバスで一緒のだった老夫婦は船に乗っているのを見かけた。ここでも旗を先頭にした30人くらいの団体客がゾロゾロと2つ3つ集団で歩いている。往復で4キロ程歩いてビジターセンターに戻りコヒーとアップルタルトで休憩し、土産など購入する。珍しく奥さんも自分用にお土産を買う。帰りは往路とは違う水上バスで帰ることにして乗船場に向かうと船着き場近くに羊がいる。水量が豊な大河はライン川の支流か?下流からリバークルーズの薄く長細い優雅な姿の船がやって来る。やがて水上バスが到着し先刻の夫婦も同じく乗船してきた。割と早いスピードで貨物船と行き違いながら下流ロッテルダム港に向かう。護岸は自然に配慮された石積みでオランダ紀行に書いてあった通り。1時間弱で美しいErasmusbrug橋のたもとの港に到着。近くからトラムに乗って斬新なデザインの建築物が多いマルクオハルというマーケットに立ち寄って観た後、近くの国鉄駅から直接スキポールへ無事に帰り着く。

「一列に並ぶ幾何学風車群キンデルダイクの大地を干かす」

「団体の観光客の後方はあらかた疲れた年寄り多し」

(チケット検札)

 

(Erasmusbrug橋)

次の10月5日、ホテルをチェックアウトし朝アムステルダムに向かう。ウイーンへのフライトは17時なので15時までアムステルダムの市内を巡る。中央駅から涙の塔、ダム広場、王宮広場を見る。ダムはアムステル川を堰き止めたダムのことで街の名前の由来でもあるらしい。王宮横のデパートの最上階にビュッフェがあり、そこで朝食を取る。オスロの王宮もここの王宮も建物近くまで解放されて近さがある。チーズの店、アムステルダム大学を覗いて運河沿いを歩きマへレの跳ね橋を見て中央駅に戻ってくる。中央駅の反対側は港に面していて開放感があり、見ている前を汽笛を鳴らしながら大型客船が今日も入港してきた。しばらく休憩し14時、国鉄でスキポールに向かう。

(ダム広場)

(マへレの跳ね橋)

アムステルダム港)

17:15発KLMエアーは約2時間のフライトで19:15ウイーン着。空港で迎えに来てくれた息子に会う。そこから、歩くのが早い息子についてスーツケースを引いて、国鉄からU4地下鉄に乗り換えてウイーンの西辺のハイリゲンシュタットのホテルに到着。