長月のリハビリ、永田和宏「後の日々」読了

頸椎ヘルニア治療は続く。首周辺の痛みやしびれは薄くなり左ひと差し指の先端に麻痺が残る。リリカ錠というのを処方され安静にしてくださいと言われてから気長な治療続く。指先の感覚は凍傷でかじかんだような鈍感さで、微妙な凹凸や熱い冷たいを感じにくいような表現が適当か。そのくせ一時的に痒みを発するのは何故か?寝る方向が悪いと以前のようなジンジン左腕に痛みがくるのも厄介。実に実にヘルニアはコロナ以上に私にとって厄介な存在となっている。梅雨明け遅く、異常に暑かった夏の間も治療一辺倒で自転車に乗れずじまい。9月半ばからすーっと引くように暑い空気が涼しい乾燥した空気と入れ替わってきた。近年は10月近くまで台風来襲で暑い日があるが、今年はいつになく順調な秋の訪れに思う。整形外科の待合室もジワジワ患者が増えて混雑し始める。気温低下⇒ウイルス活性up⇒空気乾燥⇒飛沫感染リスク増加なので、こればかりは油断ならぬ状況で自粛期間が懐かしい。まあ、感染して軽症で済むという保証があれば良いのだけれど。
遅かった彼岸花が咲き始める。リハビリの効果を確認でお試しにママチャリ自転車(岐阜では当乗り物をケッタと呼ぶ)に乗ってみるとやっぱり左腕がしびれるので、遅々として治らぬ左腕をさすりながら秋の青空を眺めては恨めしくぼやきたくもなる。この5か月ほど追い立てられた仕事は無事納品を終え澄み切った気分になれたのはせめてもの救い。

「ヌスビトハギ 萩より早く花つけて秋風ふけば手招きをする」

コロナのせいで自転車の一大レースのツールドフランスも日程が一月ほど遅れて始まり先週無事終わった。今年は意外にも大資本で有力選手をかき集め何年間も連勝しているチームイネオス(英国)が早々に脱落して願ってもないチャンス到来。)ゼニ金で勝利を買うような振る舞いはスポーツ、ビジネス問わず潔しとは思わない私にとって、心の中で応援しているのはオランダのチームユンボ。21日間レースの序盤から総合トップのイエロージャージを維持して調子がいい。若手のファンアールトの活躍に加え個人的にトニーマルティンというドイツの選手が機関車のように必死にトレインの先頭を引いていくのを見ているとなんとも嬉しく頼もしい。レースは日本時間深夜にその日が終わるため、時差7時間遅れで就寝前になる息子と私は早朝にその前レースの結果と感想、及び今後の展開予想までをメールでやりとりし、「うん、なるほど」と納得してから毎日会社に出かけ気分は上場だった。紛れなくこのままユンボの牙城は崩れることはないと確信した3週間レースの20日目、我らがユンボのリーダー、ログリッジは最終日の前日の個人TT(山岳タイムトライアル)で、なんと1分リードを逆転されリーダージャージを失った。朝、携帯画面のレースレポートで飛び起き「な・なんと・・個人TTで2分もヒックリ返されるとは・・ドーピングは??」と思うもあとの祭り、哀れパリシャンゼリゼユンボが頂点に立つ夢は崩れその日曜日は朝いつもより一層昏い。そうそう良いことは続かない・・、今年ツールがあっただけでもラッキーと思うしかない。それにしても優勝の21歳ダディ・ポカチャルも2位ログリッジも、あのリュブリャナ自然公園の美しい小さな国、スロベニアの出身というのは凄すぎる偶然だと思う。

今日、朝散歩でスター性ちょっとあるかな?猫を見つけシャッター。今日、奥さんはお友達との会合でお出かけ。昼、独りの時はゼニ金をかけず質素にコヒーにパン少々。快晴なので体力維持のために金華山DWにrun。いつもの山道に入ると母と幼子2人を追い抜く。展望台は澄み渡っているものの風が強く木々が大いに揺れている。下り、さっきの子供が道に座ってぐずっているところに遭遇し「もうちょいや、ガンバ!」と言ってすぎると後方で「ガンバ、ガンバ」と幼い声が聞こえる。
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永田和宏氏の「のちの日々」という歌集読了。文字が少ない割に1行の内容があって難しい漢字表現で詰まり詰まりにしか読めないのが歌集。既にアンソロジ的な本を読んだこともあってベースとなる知識があるのでそれなりにすらすら進めたほうではある。夫人の河野裕子氏が最初の発病したあたりから以降の作品を集めたもので、所々に家族を伴った心の苦しみが見える。家族のぬきさしならない病のもつ意味の大きさは私にとっても他人事ではないと思わせられる。
「洗いざらしの木綿の帽子夏帽子あのときあなたは笑っていたか」
「花は野の花を選びて買いもどるこの頃鬱がちの汝が誕生日」
「二人乗りの赤い自転車かの夏の万平ホテルの朝の珈琲」
「全身でひとは死ぬなりどの組織ももういいと言うときに死ぬ」
「君よりもわれに不安の深きこと言うべきもなく二年を越えぬ」

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