吉野行

今週は岐阜に帰らず祝園滞在。3年目となるこの冬は異様に低温で体の筋肉がコチコチで首や肩が痛くなる。そんな時は葛根湯を早めに飲むと少し楽になります。このあたりも山は白く雪の中の自転車は悲惨なので自重し、この日は前から気になっている吉野へ、ここは蔵王堂のなかの秘仏が有名でその青いお姿を見たいと思っていました。
新祝園から近鉄急行電車で2時間程度で意外と近くお値段も安め懐暖かめです。本来は桜の時期ですが、さすがに厳冬の吉野は空いているであろうと、また人里離れた感じも良いではないか?と。
電車を乗り継ぎ吉野線に入ると相当なローカル線になります。恐らく金剛山と思われる山が白く雪が積もって今日はひとしお寒い様子。吉野線近辺は古墳や遺跡が多いらしくド田舎駅にぞろぞろリュック姿の中年が下りていきます。同じ車両で終点吉野まで行ったのは他1人という寂れよう。とにかく吉野駅に着く。人気が少ない割に駅はヨーロッパの引き込み線タイプの始発駅スタイルでおーすごい。桜の時期はさぞすごいのでは・・?

ところであるはずのロープウエーは停止中。元々歩いて上がるつもりでしたが薄雪の積もった七曲り坂をえっちらおっちら上がります。案外薄い雪は危ない。参道に出ると山門が見えてきます。この山奥にして大きい。元々山岳修験道の寺だったそうで当時の威容を感じます。やや高い石段を上ると世界遺産蔵王堂に到着。歩いているので少しマシ、止まると痛いような寒さですが、それでも参拝者はいますね。蔵王堂の中の畳がまた冷たい。座って拝むと斜め前で胡麻祈祷が行われ読経が聞こえます。実に静かな時間、目を閉じてじっと聞くといいものです。厳しい寒さの中で一段と冷厳新たなり。「今日は人が少なくて静かに参拝できてよろしいでっしゃろ」と僧侶の方に言われます。青い姿の秘仏は覆いの向こうで今は見えませんが、お堂の中の他の仏像だけでも結構な迫力あります。

外に出て歩くと山の尾根に当たるところに食べ物土産屋、特に有名な吉野葛の店が並んでます。ここは南朝があった場所がら行幸もあったようで歌碑、記念碑も多い。よくぞこんな山の尾根に朝廷が?と思いますが、調べると吉野の山岳信仰勢力は巨大だったようで昔はもっと凄かったらしい。今となっては一目三千本の桜の名所ですが秘境ぽいです。
蔵王堂に戻って脳天大神があるので行ってみることにします。同名を伏見稲荷でも見ましたが…。ところが登った山をどんどん谷底に下って行きます。雪で足元を気遣いながら下ってみるとこんな場所に結構な神社です。そこで拝んで絵馬を見ると中部圏の学校名が出てたりして意外と岐阜の人が来ているのにびっくりです。再び蔵王堂に登り返して時刻13時。13:37の電車に乗って吉野を後にしました。

桜の時期はさぞ凄いと思いますがゆっくり静かに南朝の歴史なんぞ考えながら歩くには人がいないこの時期かも知れません。今度は秘仏ご開帳の時にしたいものです。